介護の現場では、足の不自由な高齢者も少なくありません。そのため介護職の仕事では、利用者を歩行介助するシーンが数多くあります。そこで高齢者を歩行介助する際に理解しておくべき、重要なポイントを幾つか紹介します。まず、片側まひの利用者が平地で杖を使用する場合には、身体状況を把握した上で、歩く速度を合わせるなら一緒に歩行するのが基本です。なお、利用者がまひしている側の脚へ体重をかけると、体重を支えきれずに転倒する危険もあります。そこで、介護職は利用者のまひ側のやや後方に立ち、片手で利用者の腰ベルトを握り、さらにもう一方の手で肩を支えて、安定した歩行介助に努めます。
杖歩行の介助では歩き方にも注意が必要です。歩行訓練を始めた利用者に対しては三動作歩行で、なるべくゆっくりとしたペースで介助します。三動作歩行とは、最初に杖から接地し、次にまひ側の脚、そして最後に健側の脚を前へ踏み出す、3つの動作に分けた歩行方法を指します。これが慣れてくると、二動作歩行へ移行します。この歩行方法では、杖とまひ側の脚を同時に出すのがポイント。その次に健側の脚を前へ踏み出します。どちらの方法でも介護職は、先述したように安定した歩行介助に努めなければなりません。
歩行介助では階段の昇降でも技術が求められます。昇る時には健側の脚から、降りる時にはまひ側の脚から踏み出すのが基本。いずれの動作においても、最も力を入れる側の片脚を基準に考えます。もし、利用者が杖を使用して昇るなら、最初に杖を一段上に出し、次にその段へ健側の脚をのせて、最後にまひ側の脚も同じ段へ上げます。