高齢者が認知症や寝たきりになることなく、人生をまっとうするには足の機能が重要な役割を果たしています。確かに足の機能は加齢とともに衰えます。駅の階段をダッシュで駆け上がったり、長い距離を歩行することは困難になってきます。杖をつけば歩ける程度ならまだしも、車いすが必要になってくると、自力でベッドから起き上がる、一人で入浴することも困難になり、やがて介助がないと身の回りのことができなくなります。
自分でできることが減ると更に足の筋力が衰え、生活圏が一段と狭まります。他人とコミュニケーションを取らなくなると、脳の機能まで低下して、認知症になるリスクが高まります。早晩寝たきりになり、本人も家族も辛い思いをします。翻って、杖を使えば自力で歩行可能な程度の筋力が維持できれば、入浴や排泄も自力でできるし、行動範囲もある程維持されるので、他人とコミュニケーションを取る機会も確保されます。この状態なら認知症のリスクも軽減できます。
足の機能を維持することが、高齢者の生活の質を担保することは明白です。高齢者の場合、転倒による骨折や捻挫で長期間入院生活を送ると、認知症のリスクが上がると言われています。転倒を予防するために筋力を維持する運動が欠かせません。足の筋力をつける体操も地域のリハビリテーション支援センターや理学療法士が様々なものを考案しています。ボールやチューブを使ったものから椅子に座って、足を動かして鍛えるものまであります。高齢者個々の体力に応じたトレーニングが足の筋力維持、介護予防につながります。